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ハッカー倫理って何だろう。

大阪市立大学創造都市研究科 「情報セキュリティ論」レポート

ハッカーの定義


 ハッカーの定義は多くの人が試み、千差万別である。
 私自身がハッカーと呼ばれることがあるが、「それはかいかぶりです」っとお断りしている。
 私の技術・知識レベルでは到底達していえない人々がおり、ハッカーと呼びたくなる方々がいるからである。
 そのような者がハッカーを語るのはおこがましいが宿題だから仕方が無い。

ハッカーの倫理観


 ハッカーは「無法者」ではない。
 多くのハッカーは、自分自身が定める「マイルール」に基づき行動するのである。

 ハッカー自身はマイルールに即していれば「悪事」ではなく、行動に伴い罪悪感は持たない。

 クラッカーと呼ばれる悪いハッカーは、概ねそのマイルールが現行法体系にそぐわない場合に「犯罪者」となる。
 彼らクラッカーにしてみれば、「現行法制度が現実に省みて遅れている・もしくは矛盾している」ために「マイルールが違法」でという状態にあるだけだと主張する。この言い訳はアメリカ西部の大開拓時代なら通用したかもしれない。
 しかし、時代の先端に居ると自覚するのであれば、当然社会的なコンセンサスが不足していることは理解できるだろうし、現行法体系を率先して改変する社会活動にも貢献するべきである。
 実際に白いハッカーと呼ばれる人たちは、ソースコードの公開運動やコミュニティーの育成や政治的アピールによりマイルールの普遍化に向けて活動している。

 そもそもハッカーという言葉自体には悪意は無いといわれるが、発生当初から「悪戯っ子」のような語感はあったと思われる。電話機をいたずらする等は周囲の人にとっては「目覚まし時計を分解して直せなくなる」程度の軽いイタズラだと思われたことだろう。初期のコンピューターでも安定して動くよりは何らかのトラブルを抱える方が多かったであろうから、少々のイタズラはそのトラブルの前には許容範囲の小さな誤差だったろう。(実際1970年初頭であれば電話はしょっちゅう故障したものだ、日本でそうなのだからアメリカではなお更だろう)
 しかし、コンピューターネットワークが張り巡らされた今日では、コンピューターは正しく動いて当たり前であり、「目覚まし時計は正しく鳴って正しく鳴り止まねばならない」と庶民は思っている。
 この様な社会システムの中では、個人の趣味でコンピューターネットワークに介入するなどは「悪」以外の何者でも無く、異分子として排除しようとするのも当然と思われる。

悪いハッカー=クラッカー


 ハッカー業界で著名な人物に ケビン=ミトニック と ケビン=ポールスン がいる。
 同時期に同じ名前のクラッカーが登場したので、アップル社の2人のスティーブと比較して二人のケビンと紹介されたこともある。
 そしてほぼ同時期に連邦警察(FBI)に指名手配され逮捕 拘留され、ネットワークへのアクセス禁止の刑を科されている。

 彼らの生い立ち等については、複数の書籍が刊行されており、自身も著作活動を行なっているために情報が豊富である。ただ、ドキュメンタリーやルポルタージュの形式を取っているものの、作家の脚色が入っていることは容易に想像できるのでその内容は2次文献の範囲を出ないが、クラッカーの倫理観を知るためには好例といえる。
 彼らに共通するのは、少々家庭環境が複雑でやや貧困であったこと。ただ彼ら行動は貧困に由来するものでない。
貧困だけが理由ならば彼らはコンピューターシステムエンジニアとして相応以上のサラリーを得ていた時期があるからである。そして何故か何度か転落する。悪い仲間に誘われた場合もあるが、概ね技術的な興味や新たに見つけた詐欺的手法を試したくなってである。
 それでも彼らは、騙された側の制度的不備があるから騙されるのだというマイルールを適用する。
 明らかに詐欺なのに。
 

成功者は ハッカーではない?


 成功者と言われる人でも遵法精神があるかと言われれば、それにも疑問符を付けざるを得ない。
 マイクロソフト社会長のビルゲイツ氏にしても、愛車でスピード違反を繰り返し、何度も警察に捕まったことを関係者が証言している。彼が、マイルールの中では「自分は運転が上手いので、下手糞と同じ速度に規制するのは法がおかしい」として、自己の正当化を行なっていたであろう事は創造に難くない。
 また、同社の飛躍の原因となったIBM-PC向けOSの提供にしても、契約時点では同社に製品は無いにも関わらず契約を行い、あわてて他社より調達したことは有名なエピソードとされている。
 交渉上では「実物が有る」のではなく「提供することが出来る」という趣旨の契約であるので問題は無いが、手元に無いものを大胆にも提供可能であることを示すことは倫理上に問題はありそうである。

 このように 社会的に成功しているからといって ハッカーが遵法精神に富んでいるわけではない。
 ビルゲイツは 二人のケビンよりも親が金持ちだったので悪事で小遣いを稼ぐ必要が無かった程度と考えるべきだろう。

<参考文献> 『テイクダウン―若き天才日本人学者vs超大物ハッカー』〈上・下〉 下村 努、ジョン マーコフ、John Markoff、 近藤 純夫 (単行本 - 1996/5) . 『ハッカーを撃て!』  ジェフ・グッデル(Jeff Goodell)著「The Cyberthief And The Samurai」(杉浦茂樹訳)

『ハッカーは笑う』
ケイティ・ハフナー/著 ジョン・マルコフ/著 服部桂/訳 出版社 NTT出版

『FBIが恐れた伝説のハッカー 上・下』
ジョナサン・リットマン著・東江一紀訳 (草思社)

『天才ハッカー「闇のダンテ」の伝説』
ジョナサン・リットマン著・桑原透訳 (文芸春秋)

『新・電子立国〈1〉ソフトウェア帝国の誕生』 
相田洋 編  出版社: 日本放送出版協会 (1996/10

『欺術(ぎじゅつ)―史上最強のハッカーが明かす禁断の技法 』
ケビン・ミトニック (著), ウィリアム・サイモン (著, 翻訳), 岩谷 宏 (著)

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